データ活用はデジタルマーケティングの成功のカギともいわれています。データ分析の精度を高めるためには、データ収集が欠かせません。そのデータ収集の際に重要なデータファイルが「Cookie」です。
本記事では、Cookieの概要やメリット・デメリット、Cookie規制による企業への影響と対応策を詳しく解説します。Cookie規制により今後の活用が期待されているCDPについても説明します。データ活用の施策を検討している企業担当者の方はぜひ参考にしてください。
Cookieとは
「Cookie」とは、Webサイトを訪れた際に、ユーザーのPCや端末に保存される小さなデータファイルのことです。ユーザーの過去の行動や設定などを記録し、次回以降の訪問時に参照することで、よりパーソナライズされたサービスを提供できます。
Cookieには3つの種類があります。ここでは、それぞれの違いを解説します。
ファーストパーティーCookie
ファーストパーティーCookieとは、ユーザーが直接訪れたWebサイトが発行するCookieのことで、訪れたWebサイトだけで機能します。
ファーストパーティーCookieの仕組みにより、ユーザーがWebサービスを利用した際に入力した住所、氏名、メールアドレスなどの情報がデータとして記録されます。ユーザーが次に同じWebサービスを利用する際、前回入力したデータが残されているため、再度入力する必要がありません。Web上でのユーザー行動を追跡できるため、精度の高い効果測定が可能です。
そのためサイトの操作性向上やパーソナライズされた体験提供に役立ちます。
セカンドパーティーCookie
セカンドパーティーCookieは、ユーザーが訪れたWebサイトと直接的なパートナーシップを結んだ第三者が発行するCookieを指し、共有されたユーザー情報の活用に使われます。
つまり、他社のWebサイトで発行されたファーストパーティーCookieを別の企業が取得してセカンドパーティーCookieとして利用するのです。セカンドパーティーCookieを利用することで、自社のWebサイト以外からデータを収集することができます。
サードパーティーCookie
サードパーティーCookieは、ユーザーが訪れたWebサイト以外の第三者が発行するCookieであり、主に広告配信やユーザー行動の追跡に利用されます。
ファーストパーティーCookieではユーザーがアクセスしたWebサイト内でしか追跡できませんが、サードパーティーCookieなら、ユーザー行動を複数のWebサイトを通じて横断的に追跡することが可能です。
ただし、プライバシー保護の面で課題があり、現在は規制が進められています。
詳しくは「サードパーティークッキーとは_規制によるマーケティングへの影響とは」をご覧ください。
Cookie利用のメリット
Cookieの存在により、Webサイト訪問者の行動履歴や好みを把握して、パーソナライズされた体験を提供できます。ユーザーにとってはサイトの利便性を享受でき、企業にとってはユーザーエンゲージメントの向上につながります。Cookieを利用する具体的なメリットは以下のとおりです。
ユーザビリティの向上
Cookieはユーザーのログイン情報を記録したり、ショッピングカートの中身を保存したりできるため、ユーザーが何度もログイン情報などを入力する手間が省け、Webサイトの利便性を高められます。
また、Webサイトに保存した情報を次回訪れた際に確認することができます。例えば、ECサイトを利用した際に、過去に購入した商品の履歴を確認し、再度検索することなく同じ商品を購入することも可能です。同じWebサイトを使うほど、利便性が向上します。
パーソナライズされたコンテンツの提供
ユーザーの閲覧履歴や好みをもとに、個々のユーザーに対して最適化されたコンテンツを表示できます。これにより、ユーザーは自分の好みに合う商品やサービスを手間なく見つけることが可能です。
一方、Webサービスを提供する企業にとっては、ユーザーの購買意欲の向上やサービスの利用につなげることができます。例えば、ユーザーが過去に購入した商品の履歴をもとに、最新モデルをWebサイト上で紹介すれば、ユーザーの購買意欲の促進につながりやすいでしょう。
広告の効果的な配信
サードパーティーCookieを用いて、ユーザーの興味や行動履歴に基づいたターゲティング広告を配信できます。これによって、広告の適合性とクリックスルーレートが向上するため、ユーザーと企業双方にとってWin-Winとなる価値を提供できます。
自身に無関係な広告が表示されることがないため、広告を煩わしいと感じにくくなるでしょう。企業側にとってもターゲットを絞った広告・宣伝が可能になるため、無駄なコストがかかりません。
詳しくは「データ収集とは?重要性と基本的な手順、コツを紹介」をご覧ください。
Cookie利用のデメリット
CookieはWebサイトの利便性向上やマーケティングに欠かせませんが、一方で不正利用やプライバシーの侵害につながるなどのデメリットも指摘されています。Cookieをマーケティングに活用する際には、デメリットも把握しておく必要があるでしょう。
ここでは、Cookieのデメリットを3つ解説します。
不正利用のリスクがある
前述のとおり、CookieはユーザーがWebサイトを訪れた際に入力した情報を保存する機能があります。しかし、同じパソコンを複数の人が利用する場合、Webサイト上に記録された情報を別のユーザーに知られてしまう可能性があるのです。
WebサイトのIDやパスワードなどのログイン情報が他者に知られてしまうと、不正利用されるリスクがあります。そのため、同じ端末を複数の人が利用する場合は、Cookieを無効化または削除しなければなりません。しかし、Cookieを無効化・削除すると、Webサイトの利便性が大きく低下します。
同じような広告ばかり表示される
Cookieを利用すれば、個々のユーザーに合う広告を表示することが可能ですが、同じような広告が繰り返し表示される可能性があります。たとえ自分が興味のある内容でも、いつも同じ広告ばかり表示されると不快に感じるユーザーもいるでしょう。
プライバシーの問題がある
Cookieには、プライバシー保護と法規制の変化に伴う課題があります。特に、これまでユーザーのデータを勝手に収集し、広告に使用していたサードパーティーCookieが問題視されています。大手IT企業や国内外の法律はプライバシー保護を重視し、ユーザーデータの使用には、ユーザー自身の許可が必要になる方向に変わってきました。
今後のデジタルマーケティングでは、サードパーティーCookieに依存しない、ファーストパーティーデータを活用する必要があります。そのために、データを蓄積する受け皿となるCDPを構築することが重要です。
Cookie規制による影響と対応策
国内外でCookie規制が進むなか、マーケティングへの影響は避けられない状況です。企業は法律を遵守しながら、Cookie規制に対する施策を検討する必要があります。
ここでは、Cookie規制の状況と企業への影響、対応策などを解説します。
Cookie規制の状況
現在、国内外でCookieを規制するための法律の整備が進められています。欧州連合(EU)では2018年にGDPR(一般データ保護規則)が施行され、Webサイトを訪れたユーザーに対し、Cookieを受け入れるかどうかを確認する「事前同意取得(オプトイン)」が義務化されました。アメリカの各州や日本でも、Cookie規制に関する法律が施行されています。
また、Cookieを規制する仕組みを導入するブラウザも増えてきました。ユーザー数トップのGoogle Chrome は、2024年にサードパーティーCookieを廃止する予定です。
Cookie規制による影響
ブラウザのなかには、サードパーティーCookieを全面的にブロックする動きも見られます。サードパーティーCookieが規制されると、リターゲティング広告の利用ができなくなります。リターゲティング広告とは、企業が自社サイトに訪れたユーザーに対して効果的に広告を打ち出せる仕組みです。
サードパーティーCookieが規制された場合、企業によるCookieを利用したマーケティング活動が制限されるでしょう。また、広告の効果測定が難しくなり、広告の効果が得られにくくなる可能性もあります。
Cookie規制への対応策
Cookie規制は今後より強化される可能性が高いため、企業は規制に対する対応策を検討しなければなりません。Cookie規制の対象となっているのは、主にサードパーティーCookieです。一方で、自社サイトで取得したファーストパーティーCookieは今後も利用できる可能性があります。そのため、今後はファーストパーティーCookieの活用を検討することが重要です。
CDPの活用
CDPとは、企業が保有する顧客データを管理するプラットフォームのことです。
CDPを活用することで、ファーストパーティーCookieを利用して収集したデータを顧客ごとに統合し、顧客ニーズにより適合したアプローチを可能にします。また、収集・統合したデータを分析し、効果的なマーケティング施策に活用することも可能です。
詳しくは、「CDPとは_意味や基本性能_導入メリット_課題などを徹底解説」をご覧ください。
ファーストパーティーデータ活用につながるCDP(Customer Data Platform)構築
本記事では、Cookieについて紹介しました。Cookieはデジタルマーケティングで重要な役割を果たしますが、プライバシー保護の観点でサードパーティーCookie規制が国内外で強まっています。
今後は、ファーストパーティーCookieの有効活用が求められるでしょう。そのためには、CDPを構築し、データを蓄積して分析する流れを確立する必要があります。
Legolissは、CDPなどツール導入支援から運用コンサルティングまで幅広く支援しており、デジタルマーケティングを成功に導きたい企業の力強いパートナーになります。Cookie規制の対応策を検討中の場合は、ぜひご相談ください。