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CDP構築のプロセスは?構築の手順や注意したいポイントなどを徹底解説

CDP構築

CDPとは

CDP(Customer Data Platform)とは、各種データを一元管理し、マーケティング活動を支える社内データ基盤です。CDPを構築することで、顧客のニーズに合ったマーケティング施策の策定が可能になります。また、データ分析から施策を実施するまでのプロセスを効率化することもできます。そのため、CDPの構築を目指している企業も多いでしょう。本記事では、CDPの概要と構築の流れを解説し、構築時の注意点や専門パートナーとの連携の重要性にも触れます。

CDPの役割

CDPとは、企業が顧客から収集した各種データを一元管理し、マーケティングを効率化・最適化するために用いられます。
CDPとプライベートDMPは、ほぼ同義の意味で使われています。プライベートDMPもCDPと同様、自社が抱えるファーストパーティーデータの活用が中心で、顧客理解・LTV向上を目的に利用されます。
CDPはMA(マーケティングオートメーション)やCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ツールなどと連携させることで、複数のシステムから顧客データを収集することが可能です。収集したデータを顧客ごとに統合・分析することで、より効果的なマーケティング施策を策定できます。

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CDPの構築手順

CDP構築にかかる期間は、扱うデータ量や連携するシステムにもよりますが、9か月~1年程度が標準的です。プロジェクトの大まかな流れと構築にかかる期間は次のとおりです。

要件定義: 2~3か月( CDP基板設計~データ取得設計、データの取得経路や形式などの整理を含む)
開発・実装:5~6か月(データインポート~データウェアハウス構築~データマート構築~エクスポートデータ・コネクター作成)
テスト:1か月

さらに、各工程の詳細を解説していきます。

1. CDP基盤設計
CDPでデータ活用をするためには、自社が保有する既存データが連携可能かどうかを確認し、システム連携の基盤構造を設計する必要があります。データ同士を連携させる方法を確認したうえで、データ活用の基盤となる構成を検討します。

2. データ取得設計
データ格納先のさまざまな外部システムやファイルストレージからデータ連携する方法を検討する工程です。各システムからデータを連携するには、SFTP/FTP連携やパッチ連携、API連携、タグ連携などの方法があります。システムによって最適な連携手法は異なりますが、CDPのコネクター機能を使えば簡単にデータ連携が可能です。
多くのCDPにはコネクター機能が標準で搭載されています。ただし、データソースに適したコネクターがない場合は別途開発が必要です。

3. データインポート
上記の設計が終了したら、データのインポートを行います。データ取得設計をもとにデータの取り込みをするので、それほど手間のかかる作業ではありません。ただし、CDPによっては取り込めるデータの容量に制限がかけられていることがあります。
取り込めるデータ容量やレコード数に制限がある場合は、データの精査が必要になります。例えば、「直近のデータ3年分」のように、インポートするデータの期間を限定することもひとつの方法です。ほかに、条件や項目を指定して不要なデータを削る方法もあります。

データの加工・処理段階には「データレイク」「データウェアハウス」「データマート」があり、データ量や活用用途に応じて調整が必要です。
データレイクとは、取得した状態のままになっているデータのことです。データウェアハウスは、利用しやすくするために構造化したデータで、データマートは目的に応じて作成するデータのことをいいます。

データをインポートする際には、データレイクの状態で取り込めることもあれば、データウェアハウスやデータマートに調整が必要な場合もあります。

4. データウェアハウス構築
データインポート後には、CDP内にデータレイクが形成されます。データレイクは未加工の生データのため、そのままではデータ分析や活用が難しいでしょう。そのため、データウェアハウスにデータを加工・変換し、統一された構造にすることで、分析に適した形式に変更しなければなりません。

データウェアハウスの状態では重複したデータを削除する作業は行わず、できるだけ単純化することを目的とします。データを単純化することでメモリの使用量が増えすぎるのを防ぎ、パフォーマンスを向上させることが狙いです。CDPでは、各工程で必要な作業を効率的に実行するために、さまざまな工夫をしています。

5. データマート構築
データウェアハウス構築後、データマートを作成し、顧客データを統合します。収集した顧客データの重複を削除し、IDごとにリスト化して顧客の属性や行動履歴などの情報をひも付けしていく工程です。顧客データを統合した状態を「統合顧客データマート」と呼びます。統合顧客データマートを参照することで、顧客の属性や行動が把握できるようになります。

なお、データにはマスターデータとトランザクションデータがあります。マスターデータとは、性別や年齢、住所といった更新頻度の少ない情報のことです。一方、トランザクションデータとは、Webサイトの訪問回数や商品の購入履歴など、更新頻度の多い情報を指します。
マスターデータとトランザクションデータを統合して分析することで、顧客の状況に合わせたマーケティングが可能になるのです。

ただし、データマートの構築には時間がかかります。そのため、最初から完璧を目指すのではなく、優先順位をつけてデータ項目を設定し、統合顧客データの作成を進めていくことが大切です。

6. エクスポートデータ・コネクター作成
データマート構築後、各種マーケティングツールと連携することで、特定の顧客セグメントに向けた施策の策定・実施が可能になります。データ連携に必要なデータを考慮して、データマート内項目やツール提供のデータ項目を確認することが大切です。
バッチ処理でデータを連携し、連携頻度はビジネス要件に合わせ設定します。CDPによってはリアルタイムの連携が不可能な場合もあるので、ツールを選定する際の基準にするとよいでしょう。

また、MAやマーケティングツールからのログデータをCDPに戻すように設計することも可能です。顧客ごとのマーケティング施策に効果がどのくらいあったのかを測定できるので、より柔軟性のある施策を検討できます。

CDP構築時の注意ポイント

CDP構築には専門的な知識や作業が必要になります。以下の注意ポイントを事前に押さえて置くことで、導入プロジェクトをスムーズに進行できるでしょう。

データマートの構築・連携

データマートには特定の顧客セグメントに関するデータが集まることが多いため、データマート内の項目に不足がないかを念入りに確認しましょう。CDPと連携するマーケティングツール側のデータ項目も合わせて確認が必要です。

データマートを構築する際には、あらかじめ必要なデータ項目が用意されますが、マーケティング施策によってはデータ項目が不足するケースもあります。
そもそも、どのようなデータ項目が必要なのかわからない、データ活用の目的が明確でないといったケースもあるでしょう。その場合は、専門家の支援を受けながら目的を明確化することから始めるとよいでしょう。


データマート連携頻度とリアルタイム性

前述のとおり、データ連携は基本的にバッチ処理で行い、ビジネス要件に合わせた連携が必要です。リアルタイムで連携を求める場合、導入前にCDPツールの対応可否を確認しておきましょう。
自社に合うCDPツールを選定するには、CDP構築の流れを把握しておく必要があります。CDP構築には専門性が求められるため、まずはCDPの構築から運用まで相談できる、頼れるパートナーを見つけることが大切です。

マーケティングデータツールとのデータのやりとり

マーケティングツールのログデータや施策の効果をCDPに返す設計も重要です。顧客ごとのメール開封やクリックデータ、接触回数、施策の利用などの詳しいデータをCDPに返すことで、施策の効果や顧客の反応を判断できます。
マーケティング施策の効果や顧客の反応を確認し、過剰な宣伝・広告を抑制することが可能です。

専門パートナーとの連携の重要性

CDPの構築・運用にあたり、社内のエンジニアに適した人材がいない場合は、CDPを構築してもデータの分析や活用が進まないかもしれません。また、運用を進めるなかで、新しく社内データを連携したり、システムを新たに導入して連携させたりするには、プログラミング言語の知識も不可欠となり多くの手間もかかってしまいます。
このような専門性が高い分野については、社内の人材のみで解決することは難しいでしょう。そこでCDPに強い専門パートナーと連携することをおすすめします。経験豊富なパートナーなら、必要な作業や工程、構築までにかかる期間などを熟知しているため、プロジェクトの全体像を把握することが可能です。また、複雑な作業も専門パートナーが行ってくれるため、手間と時間を短縮できます。さらに運用開始後もさまざまな悩みを解決に導いてくれるでしょう

専門パートナーと連携して自社に最適なCDP構築を

本記事では、CDP構築について紹介しました。CDPを導入する際には、構築から運用までの流れや期間などを把握しておく必要があります。企業におけるCDP導入のニーズは年々高まっていますが、CDP構築の手順は複雑であり、専門的知見を有したパートナーとの連携が不可欠です。



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