【Legoliss社員インタビュー】クライアントのMA活用をサポート。企業のマーケティング施策の目標や設計に貢献することの面白さを実感

Legolissは、企業のデータプラットフォームであるCDPの構築・運用・分析から、MA(マーケティングオートメーション)活用やデジタル広告、ユーザーとのコミュニケーションといったアウトプット施策まで、データを軸とした企業のマーケティング全般を支援させていただいています。

なかでもMA事業は2年ほど前より立ち上げ、多くのクライアント様のマーケティング活動をサポートをさせていただいております。

今回は、MA事業部で活躍する、窪田恭紘にインタビューをしました。
Legolissに入社したきっかけや、現在の仕事について話を聞いた内容をぜひご覧ください!

 

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マーケティングオートメーション事業部 テクニカルディレクター / データアナリスト
窪田恭紘 Takahiro Kubota
大学院卒業後、家電量販店でカメラ・プリンタなどの商材を中心にメーカー製品の販売業務に従事。その後、大手インターネット企業でネットショッピング事業に携わり、出店企業や個人事業主のコンサル営業に従事。食品からファッション、美容・健康など、幅広いカテゴリのクライアントを担当し、広告やCRMツール等を活用した顧客獲得・育成の提案など幅広いサポートを行う。その後、Legolissに参画し、Salesforce Marketing CloudなどのMAツールの実装・運用、TableauなどのBIツールのダッシュボード構築などに従事。

 

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---社会人一年目は、どんな仕事をされていましたか?

 

大学院卒業後は、営業として、家電量販店でカメラ・プリンタなどの商材を中心にメーカー様の売上向上をサポートしていました。もともとオフラインの販売業務に興味があったのですが、この家電量販店での営業がきっかけで、ネットショッピングに興味を持ちはじめ、ECモールの事業を展開している大手インターネット会社に転職。インターネットショッピングモールへ出店する企業様のコンサルを担当しました。
仕事内容としては、出店企業様にショップのページ構成や売上効果を考えた独自の検索対策をアドバイスしたり、独自の広告メニューなどの提案なども行っていました。

 

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---大手ショッピングサイトなら、担当企業も多かったのでは?

ショッピングモールには、さまざまな出展企業様がいて、自分は多いときで8,000店を担当していました。数字だけ見るとすごい数ですよね(笑)
中堅から大手企業を100店舗くらい担当する人とそこまで流通規模が大きくない店舗や新規店舗を何千店舗も担当する人に分かれていて、自分は両方経験していますが、3年間のうちの2年間は流通規模が大きくない店舗や新規店舗を担当、残りの1年間は美容健康商材を扱っている企業様を担当しました。

 

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---そこで、楽しさを感じたことや培った経験はありますか?

大手企業も小規模の店舗も、どちらも違う魅力がありましたが、新規店舗様の立ち上げからのサポート経験は特に楽しかったですね。
また、美容健康商材を担当していたとき、当時同じ部署だった人から色々なことを学びました。
店舗が持っているデータを抽出して分析する、などすごくデータまわりに詳しい人だったので、その人と一緒に仕事をしている中でデータにも興味を持ちはじめました。
このとき担当していた8,000店舗の企業様に向けて、キャンペーンの対策や広告メニューのご案内などのメールを送っていましたが、メール配信の見直しを行うにあたり、新たにセグメント作成、件名でのABテストなど、データを分析してメール配信に生かす、といった知識を身につけることができました。

 

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---データに触れた経験が、Legolissへの入社を決めた理由ですね!

 

実はLegolissに入社する前、EC系の会社に行くか、データマーケティングの会社に行くか迷っていました。
そんなとき、たまたまLegolissからオファーをいただいて、当時面接をしてくれた担当の方がすごく人柄が良く面白くて、一緒に働く“人”で入社を決めたんです。

 

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---入社後はどのような仕事をされてましたか?

前職が営業コンサルだったこともあり、入社後はCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の構築・運用やデータ分析など、企業様のデータ活用を担当するデータデータソリューション事業部(DS事業部)で、プロジェクトマネージャーとして数社の企業様を担当しました。
その後、当時Legolissはまだまだ成長過程でもあったので、会社の仕組みをより構築していくために、業務推進担当として経営管理部のサポートをしてきました。
このタイミングで、Salesforceの資格も取得しました。

 

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---バックオフィスの担当をしながら、資格も取得。その後、MAに携わるようになったのですか?

当時、業務推進担当をしながら、消費財メーカー様や映像配信企業様のダッシュボード構築やBIの実装もサポートしていました。
その後、LegolissでMA事業を立ち上げることになり、チームメンバーとして主にSalesforce Marketing Cloudの実装を担当することになりました。
現在は、先日一緒にイベントに登壇させていただいたマクアケ様や通信会社様、アパレル企業様、消費材メーカー様などのMAの実装をサポートさせていただいています。

 

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---MAチームになってどんなスキルが身につきましたか?

 

前職のインターネット企業では、メール配信などは担当していましたが、実際にその裏側がどうなっているか、はあまり携わることができませんでした。
LegolissのMAチームでは企業様のサポートをさせていただく中で、ドメインやツールの設定などの知識をより深めることができ、また個人情報を取り扱う上で、どのようなセキュリティが必要か、などの意識的なところも変わりました。
また、自分が担当する企業様のメール配信からその結果のデータを見ることで、その先の顧客の反応やそこから分析してさらにどのようなコンテンツが必要かなど、企業様のマーケティング施策の目標や設計に貢献できていることが、自分にとってもすごく経験になっています。
いつも対面でやり取りをさせていただいている企業のご担当者様の社内での評価が上がると、本当に嬉しくて。
これもデータマーケティング企業の魅力のひとつですね。

 

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---窪田さんが思う、データマーケティング会社の「Legolissの魅力」は他にもありますか?

まだ40名程度の会社でもあるので、他のチームとの距離が近いのがLegolissの魅力のひとつだと思っています。
違う部署のSNS運用や広告運用の担当者が、日々どんな考えでどんな仕事をしているのか、自分の領域外のことを知ることができるのですごく勉強になります。
逆に自分が担当しているMAの業務について「どんなことをしているのか知りたいです!」と、興味を持ってくれたり、コミュニケーションが活発ですね。
この規模感だからこそ、こういった“会社のカラー”が生まれているのだと思います。

 

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---最後に、これから挑戦していきたいことがあれば教えてください!

現在はテクニカルアーキテクトのポジションで、MAの構築や運用を担当していますが、今後はもう少しお客様の戦略的なところに入って、コンサルの立場でサポートできるように成長していきたいと思っています。
常にクライアントと伴走していけるような、お客様から信頼される存在になれたら嬉しいです。
もうひとつは、MAでも、MA以外でもさまざまなツールをもっと深いところまで、知識を身につけていきたいです。

 

LegolissのMA事業立ち上げから、現在は多くの企業様を担当し、社内では他の社員に向けて勉強会なども行っています。
今後も、Legolissの社員インタビューでは、メンバーのリアルな声をお届けしていきます!

 

 

スーツも接客も個人にぴったりフィットしたものを ― オンワードパーソナルスタイルが目指す「オーダーメイドの民主化」

株式会社オンワードパーソナルスタイル 様

「一人ひとりにフィットした上質な顧客体験」は、ブランドの重要な価値のひとつです。オーダーメイドスーツをメイン商材とする株式会社オンワードパーソナルスタイル(以下、OPS社)ではデータを活用して、接客からアフターフォローまでよりパーソナライズされた顧客体験を提供するためにTreasure Data CDPを導入しました。

同社DX部の大井綾子さまと金屋雅一さま、およびプロジェクトの設計や進行管理を務めた株式会社デジタルシフト(以下、デジタルシフト社)の木戸大祐さまに「オンワード・オーダーメイド事業における顧客中心のデータ活用の仕組み化」と題してCDP導入プロジェクトの詳細をお話しいただきました。聞き手は、同社に伴走してデータ活用に取り組ませていただいたLegolissの小林範子が務めました。

<話し手>
大井 綾子さま
株式会社オンワードパーソナルスタイル
DX部 ゼネラルマネージャー

金屋 雅一さま
株式会社オンワードパーソナルスタイル
DX部 エキスパート

木戸 大祐さま
株式会社デジタルシフト
CXデザイン部 プロジェクトマネージャー

<聞き手>
株式会社Legoliss
取締役/データマーケティング事業部 事業部長
小林 範子

パーソナライズされたより良い顧客体験を提供するために

OPS社は、株式会社オンワードホールディングスの100%による事業子会社です。「オーダーメイドの民主化」をミッションに掲げ、2017年に新ブランド「KASHIYAMA」をスタート。スーツやシューズのオーダーメイドをメイン事業としています。独自のサプライチェーン構築による納期短縮と適正価格の実現が特徴で、これまでのオーダーメイドでは納品まで1カ月かかっていたところ、最短1週間で提供しています。

今回Treasure Data CDPを導入した目的は「顧客中心の事業活動強化」すなわち、「カスタマーサクセス 」にあります。目まぐるしい市場環境の変化や技術の進歩の渦中で生き残るには、顧客に対するブランドの提供価値を高めなくてはなりません。具体的には、オフラインでは接客の品質向上、オンラインでは情報発信の高度化およびパーソナライズ化、すなわち「より一人ひとりにフィットした上質な顧客体験」を提供する必要があります。

OPS社が実現を目指す顧客体験のイメージは以下の図の通りです。カスタマージャーニーの全ての段階で、データを活用してより良い顧客体験を提供する、その根幹にTreasure Data CDPがあります。

予約時や採寸時の接客品質の向上は、ブランド・サービスへの期待感醸成につながります。来店後アンケートや商品到着までの間のアフターフォローの質を高めることで、顧客のわくわく感を維持すると同時に不安や不満の芽を摘むことができます。さらにメンテナンスの案内といったパーソナライズされた情報を適切なタイミングで提供することで、購入後も顧客との接点を持ち続けることが可能になります。

この仕組みを実現するため、Treasure Data CDPにすべての顧客データを集約し、各種ツールを通してさまざまな場面で活用できるようにするのが今回のプロジェクトです。プロジェクトの設計や進行管理、CRMコンサルティングとしてデジタルシフト社が、Treasure Data CDPのインプリメントとデータ活用の運用支援でLegolissが参加しています。

プロジェクトで解決すべき3つの課題

プロジェクト開始前、OPS社は大きく分けて3つの課題を抱えていました。「データ管理上の課題」「データ活用上の課題」「情報発信上の課題」だ。プロジェクトではこれら全ての解決を目指します。

データ管理上の課題

店頭受注、EC、会員、会計など全てのシステムが個別に存在しており、且つシステム間にデータ連携や情報共有の仕組みがありませんでした。いわゆる「サイロ化」しており、データ活用が難しい状態でした。

データ活用上の課題

店頭での接客時に取得した顧客データは、各スタイルガイド(販売員)が紙のカルテで管理していました。これは顧客対応や接客スキルの属人化をまねいていました。さらに顧客管理はExcelで行っているなど、カルテと顧客管理が連動していませんでした。

情報発信上の課題

メールでの情報発信はしていたものの、顧客全員に同じタイミングで同じ内容を発信していました。顧客データを分析して最適なタイミングや内容を見極める、パーソナライズの仕組みがなかったことが原因でした。

CDP導入プロジェクト実施の流れ

プロジェクトは2段階に分けて行われていました。ステップ1ではTreasure Data CDPにデータを一元化し、サイロ化を解消します。次にステップ2でデジタル顧客カルテやMA等のツールを導入し、接客や情報発信をパーソナライズします。これにより、前項で挙げた3つの課題を解決していくというものです。

  • ステップ1:サイロ化の解消(管理上の課題を解決)
  • ステップ2:データを活用したパーソナライズの実施(活用上・情報発信上課題を解決)

 

ステップ1の前に

デジタルシフト社の木戸氏は、プロジェクト実施の前に現状把握から始めました。まずKASHIYAMAがスタートしてから現在までのデータを分析し、顧客についてさまざまな角度から確認していきました。それを踏まえた上で、ブランドとしてどのような価値を顧客に提供するのか、つまりプロジェクトの軸を定めました。

プロジェクトの目的は顧客により良い価値や体験を提供することです。定めた軸に基づき、理想を実現するために顧客との関係をどのように作っていくのかをプロジェクトチーム内で考え、各ステップの実行に進みました。

 

ステップ1:データの一元化

オーダーメイド商材を取り扱うため、生地や採寸データ、利用オプションなど、データの種類も量も多くなります。スーツ、シャツ、シューズと品物ごとにシステムが異なり、リアル店舗/ECのチャネルでもデータが分かれていました。手書きのデータもあ理ました。この大量のデータを統合して活用できる状態にするためには、まず各システムのどこにどのデータがあるのかを把握しなくてはなりません。

そこでTreasure Data CDPのインプリメントに入る前の段階からLegolissも参加し、状況把握や仕様設計を行いました。各所でサイロ化したデータを照らし合わせ、OPS社・デジタルシフト社・Legoliss社の3社が密にやり取りをしながら、「どことどこのデータが一致するのか」「どことどこを繋げたら、高精度なデータとして活用できるようになるのか」といった議論を重ねて、データの整理と仕様設計を進めました。

デジタルシフト社の木戸氏は「地道なプロセスだが、一番大事なところ」だと振り返ります。ここで正確なデータの地図を描いておくことが、今後のデータ活用におけるキーポイントです。こうして綿密な設計の基、Treasure Data CDPにデータを一元化することができました。

 

ステップ2:一元化したデータを活用する

Treasure Data CDPに蓄積したデータのアウトプット先として今回のプロジェクトで対応するのは、スタイルガイドが接客時に使用する「デジタル顧客カルテ」と、パーソナライズされた情報発信を行うための「MAツール」です。

また、店舗の売上げや個人の成績を評価するための「BIツール」を用いたデータの可視化も先行して進んでおり、この対応も合わせて行われました。これらの3つのツールにTreasure Data CDPからデータを連携し、活用します。

データ連携のためには、それぞれのツールに対応するデータマートをTreasure Data CDP内で構築する必要があります。データマートとは、目的に応じて部分的に抽出したデータです。ここでもステップ1に引き続き、デジタルシフト社とともにLegolissが大きな役割を果たし、もはやOPS社よりもOPS社のデータに詳しい程、となりました。

データマートが3種類であっても抽出元のデータは共通です。処理を共通化したり、逆に個別にすべきところは分けたり、長期的な運用の継続も考慮して設計しました。Legolissのデータエンジニアが中心となり、OPS社、デジタルシフト社両者に相談をしながら意見をすり合わせて作り上げました。

「システムごとにマスタをどう使っていくのか、保守性を考えた上でどう統合するのがベストなのかについて、(Legolissさんに)リードしていただけたので、我々としてもかなり進めやすかった。」(デジタルシフト社 木戸氏)

こうして構築したデータマートを各ツールに流し込むことで、データを活用した顧客体験向上が可能となります。

スケジュールと苦労した点

上記では順に説明しましたが、実際にはステップ12の作業はほぼ同時に実施されました。BIツールでの可視化は先行して進められていたため、顧客カルテとMAへのアウトプット部分の開発とデータマート構築を行いながら、同時にCDPの構築も進めました。

開発を並走させることで期間は短縮できましたが、苦労したこともありました。例えば、前述の各データマートで共通化できる部分/分けるべき部分をはじめ、どういうデータが異常値か、使うべきデータカラムはどれなのか等々、先行して作業しているBIツール側で判明することはたくさんあります。それらはもちろん顧客カルテとMAの仕様やデータマートにも反映させなくてはなりません。工程の前後関係やスケジュールへの影響を踏まえながら管理・調整することに尽力したと木戸氏は振り返ります。

タイトなスケジュールではありましたが、制作物のクオリティについて「帳票周りや顧客カルテは実際スタッフが使うものなので妥協できなかったし、リリース日も強い希望がありました」(OPS 大井氏)という。「木戸さんにもLegolissさん(プロジェクト担当者のテクニカルディレクター/データアナリストの仙田真帆)にも相当苦労して進めてもらいました」と大井氏は話します。より良い顧客体験のためには妥協しないOPSの強い思いにデジタルシフト社とLegoliss社が全力で応えました。

リリース後の今も、システムのブラッシュアップは続けられています。大井氏が実現したいことや変更したい部分を相談すると、Legolissからは既存システムへの影響範囲を踏まえた的確なアドバイスを返します。ステップ1でデータの全体像把握に力をいれたからこそです。

Legolissの小林はプロジェクトを振り返り、「3社が臨機応変に判断をして最善の方法を見つけられた。同じ方向に向かってプロジェクトが進んでいたのはすごく良かったです」と話しました。

Treasure Data CDPを選んだ3つの理由

プロジェクトで導入するCDPとしてTreasure Data CDPが選定された理由は主に3つあります。まず1つ目は、グループ全体での活用を見据えたスケーラビリティです。これには容量やパフォーマンスだけではなく、ガバナンスや管理のしやすさなども含みます。

2つ目はインプットとアウトプットのしやすさです。オンワードグループ全体で見ても独自の既存システムやSaaS系のサービスなど数多くのシステムを利用しており、今後さらに増える可能性もあります。どんなシステムからでもデータをインプットして一元化でき、どんなシステムにもデータをアウトプットして活用できることが重要です。

3つ目はデータ分析のしやすさです。データを扱うのはエンジニアだけとは限らないです。専門家でなくてもとっつきやすいことも重視しました。

以上の観点から、Treasure Data CDPのスケーラビリティや外部コネクタの豊富さ、GUIのわかりやすさなどが評価され選定されました。OPS社だけではなく、オンワードグループ全体でもTreasure Data CDPを活用することが決定しています。

目指す姿を実現するためのパートナーとツール選定

CDPを導入しただけで魔法のようにDXが実現し、事業が成長するわけではありません。目指す姿をしっかり描き、従業員や顧客に定着させながら保守・運用していく必要があります。それができるパートナーとして選ばれたのがデジタルシフト社でした。実際、前項で紹介したように、木戸氏はプロジェクト開始前の現状把握と理想とする姿の明確化に力を入れました。

目指すべき姿が明確になった後は、それに最適なツールや開発会社を選定しました。アウトプット先のツールは類似事例の豊富さやシステム間のつなぎやすさから相性の良いSalesforceに統一しました。そして、Treasure Data CDPの導入実績が豊富なLegolissが開発会社として選ばれました。Salesforceのツールに関する開発・運用はtoBeマーケティング株式会社が担当しています。

運用開始から3カ月弱での成果

2021年3月に実装が完了し、運用開始してから本対談が実施されるまでに3カ月弱が経過しました。まだ成果が出始めた段階ではあるが、ここまでの成果の一部を紹介します。

意思決定速度の飛躍的な改善

Treasure Data CDP導入前はデータがサイロ化していたため、各所からデータを集めてくる必要があり、それに1週間、場合によっては1カ月かかっていました。一元化によりこの待機時間がゼロになりました。

また、データの突合や異常値のクレンジング等、分析の前処理に1日かかっていたが、本プロジェクトによる自動化で前処理時間もほぼゼロになりました。

これらのデータ分析速度向上により、事実確認やデータに基づく意思決定の速度が飛躍的に改善されました。

パーソナライズ配信によるCVR改善

MAを用いてパーソナライズされた情報を発信することで、CVRは約5%の改善が見られました。オーダーメイドスーツは購入周期が長い傾向があるため、今後運用期間が長くなるにつれてますます成果が見えてくると予想されます。

接客時の顧客理解の深化・速度向上

デジタル顧客カルテはタブレット形式で、スタイルガイドの手元で顧客データを参照できます。紙のカルテよりも参照スピードが大きく向上し、顧客を待たせる時間が軽減されました。バックオフィスのPCまでデータを見に行く必要もないです。

顧客理解が深まり、会話やレコメンドする際のヒントが得やすくなったと現場からも好評だといいます。今後も現場の意見を拾い上げながらアップデートしていく予定です。

データ活用の環境が整い、次は「どう活用するか」

CDP導入プロジェクトにより、データを利活用する環境が整いました。その環境を利用して、OPS社は次の段階へ向けて動き出しています。構想は大きく分けて3つです。

1つ目は、顧客状態把握の高度化とKASHIYAMA愛好の深化です。購買・心理の両側面からロイヤルティを計測し、愛されるブランドを目指します。ロイヤルティを高めるプログラムの導入も検討しています。

2つ目は、定性データを活用したパーソナライズの強化です。デジタル顧客カルテで接客を高度化しただけではなく、接客時に得たデータを蓄積して次のコミュニケーションに活かします。

3つ目は、スタイルガイドと顧客のつながり強化です。接客のプロであるスタイルガイドの数はOPS社の強みのひとつです。現在はスタイルガイドと顧客の接点は店舗が中心だが、それ以外でも顧客の好みのチャネルやタイミングでコミュニケーションを取れるような仕組みを整えます。

ミッションに掲げた「オーダーメイドの民主化」の通り、オーダーで作ることの価値や楽しさをより多くの顧客に伝え、最高の顧客体験を提供するためにこれからも邁進していきます。