CDP×MAが顧客とのコミュニケーションの連鎖を加速させる 電話だけじゃない「コンタクトセンター」の今

WOWOWコミュニケーションズ様とCDP×MAについて、お話しをさせていただきました。
ぜひご覧ください。

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映画・スポーツ・音楽など、さまざまなジャンルを放送する衛星放送の総合チャンネルWOWOWを親会社に持つ、株式会社WOWOWコミュニケーションズ。

グループ内で営業やマーケティングの最前線を担う同社ですが、WOWOWで培った知見をもとにデジタルマーケティング・データマーケティングサービスも展開し、既に売上比率の60%はグループ外の企業様なのだそうだです。

今回は、WOWOWコミュニケーションズが実践する顧客理解、そして顧客コミュニケーション事例について、同社マーケティング部の横関 彩様と、こちらもデータを軸にしたデジタルマーケティング施策を手掛けているLegolissの田中が解説いたします。

CDP×MAで実現する顧客体験の提供

 

 

MA(マーケティングオートメーション)は単体で利用してもマーケティング施策に大きな効果を発揮しますが、CDPと連携することでより深い顧客理解を得ることができます。

今回、Legolissでマーケティングプランニング事業を推進する田中毅が、Treasure Dataのマーケティングマネージャー小林広紀様と、CDP×MA連携についてセッションいたしました。

なお、本記事内の一部解説や紹介事例はBtoC向けのMAを想定したものとなっていますが、CDPMAの連携の仕組み自体はBtoCBtoB問わず有効です。

CDPMAを組み合わせるメリット

MAを単体で使用している場合、各顧客接点で得たデータはデータソースから直接MAに送られ、保存されます。

それに対してMACDPを連携させる場合、各データソースのデータを直接MAに送らず一旦CDPに集約・蓄積し、必要に応じてCDPからMAにデータを連携する形になります。

MAをCDPと連携させるメリットは大きく分けて2つあります。「複数のMA環境でのデータ連携が容易になる」ことと「顧客理解のために使えるデータが格段に増える」ことです。

 

メリット1:複数のMA環境でのデータ連携が容易

CDPを介さず直接MAにデータを送る場合、会員情報や購買データ、ECサイトデータ等データの種類ごとに多くのデータソースとMAを連携する必要があります。ブランドや製品、サービス、社内の各事業部ごとに分けて複数のMAを使う場合、それぞれのMAを個別にデータソースと連携することになります

 

 

この環境でMAを入れ替えたり追加したりしようとすると、すべてのデータソースとの連携の設計や設定をやり直さなくてはならないです。データソース側に仕様変更があった場合も、複数あるMAのすべての設定を変更しなくてはならないです。

事業拡大により連携元のデータソースや使うMAの数、さらにはMAから連携するツールが増えれば増えるほど、データの連携経路は複雑になります。それに伴い、設計や修正対応の工数はどんどん増えます。外注するならば費用も膨れ上がります。

そうした環境にCDPを導入することで、データの連携経路をシンプルにすることができる。データソース側に仕様変更があっても複数のMAをそれぞれ修正する必要はなく、連携しているCDPの設定だけを修正すればよいです。

MA側は多くのデータソースと連携せずとも、データが集約されたCDPとだけ連携することで必要なデータを取り出すことができます。

 

メリット2:顧客理解のために使えるデータが格段に増える

MA単体では施策に利用できるデータ項目が限られているが、CDPは企業が保有する多種大量のデータと、天気予報等の外部データを併せて蓄積できます。つまり、顧客理解のために使えるデータが格段に増えるということです。

これまで複数のブランドやサービスのMAに分散していたデータを集約することで、企業全体で横串の通った顧客分析と顧客対応ができるようになります。

例えばCDPを介さずにブランドごとに別のMAを使っている場合、複数のブランドの商品を購入した顧客に大量の施策メールが届いて顧客体験を損ねてしまうかもしれません。CDPにデータが集約されていれば、別ブランドでメールを送信した記録を参考にしながら配信の頻度や条件を設定することができます。

豊富なデータを使って顧客理解を深め、その理解に基づいた施策を実行することは、顧客にとってより快適で一貫したコミュニケーションにつながる

 

CDPとMAを組み合わせて活用するためのステップ

実際にCDPを導入し、MAと組み合わせて活用するまでのステップを紹介します。

 

1.社内にあるデータの整理

社内にどのような状態のデータがどれだけデータがあるのかを明らかにし、整理して集約します。いわばデータの棚卸しです。存在するのにこれまで活用されてこなかったデータが見つかることもあります。

データの状態はさまざまで、フォーマットが統一されていなかったり、場合によっては紙データで記録されていたりもします。それらをすべてCDPに蓄積して活用できる形にする必要があります。

 

2.データ取得経路の整理

常に新しく入ってくるデータを継続的にCDPに蓄積できるようにするためには、どこからデータが入ってくるのかを整理する必要があります。ステップ1で整理したデータはどこから取得したものなのかを明らかにし、CDPとつなげる準備をする。取得経路の例は下に示しました。

併せて、今後有用なデータを取得できそうな経路も考えてみるとよいです。例えばウェビナーや製品紹介動画からは視聴履歴や視聴者属性のデータを取得できます。把握したい顧客行動やその取得方法を検討することで、よりデータを充実させることができます。

 

3.CDPにデータを集約する

整理した内容を基に、CDPとデータソースをつなげてデータを集約します。社内のデータだけではなく、必要に応じて外部データも格納すると、施策・分析に活用できるようになります。

集約したデータを基にCDPで顧客セグメントを作り、それをMAに渡して施策を実行するこの段階で、ようやくCDPMAの連携が実現します。

MAにもセグメントを作る機能はあるが、扱えるデータ項目が限られている上に、データが古い可能性もあります。取得経路から常に最新のデータが入ってくるCDP側で作ってMAに渡したほうが、より今の顧客の状態に合わせたアプローチが可能になるはずです。

 

4.施策結果・フィードバックをCDPに戻す

連携が実現したからといって、そこで気を抜いてはいけません。顧客はメールを開封したのか。URLをクリックしたのか。施策の結果をCDPにフィードバックすることで、次の施策につなげるサイクルを作ることができます。

CDPによる社内横串の体制では、他サービスで実行した施策のフィードバックも蓄積される。そのデータも含めた分析によって、次回以降はより深い顧客理解を基に施策を実行することができます。

 

CDP×MAの連携事例

CDPとMAの連携で成果をあげている企業の事例を2つ紹介します。

 

事例1:消費財メーカー

ある消費財メーカーでは部門やブランドごとにデータの管掌が異なり、使用しているMAもばらばらでした。そのため、各部門・ブランドからメールがそれぞれ届き、企業全体で一貫した顧客体験を提供できずにいました。そこでCDPを導入してデータを集約し、部門間のデータ取り扱いをサポートする担当部門を設置することにしました。

CDPに集約したデータを各部門・ブランドのMAに連携して施策を行う他、ダッシュボードにも連携して必要な情報を各部門からリアルタイムで閲覧できるようにしました。その結果、ブランド・サービスを横断して会員登録状況や購買データを確認できるようになり、一貫した快適な顧客体験を提供できるようになりました

 

事例2:衛星放送事業者

ある衛星放送事業者ではCDPに会員情報等のデータを集約し、視聴傾向データからどのようなコンテンツが好きなのかセグメント分けをしてメール施策を行っています。幅広いデータを用いてより精度の高いセグメントを作ることができるのも、CDPの利点です

また、この事業者では元々顧客からのコールセンターへのコール内容を音声認識ソフトでテキスト化し、Q&Aや社内データを検索しやすくするシステムを持っていました。そのテキストデータもCDPに集約して解析することで、トークスクリプトやメール内容の改善に活かしています。

 

連携を支えるLegolissの導入・運用支援

上記2つはいずれも、Legolissがパートナー企業としてCDPのインプリメント・運用支援を行った事例です。CDPのインプリメントはもちろんのこと、運用支援ではトレーニングを含めたスキルトランスファー(技能や技術の共有)からスタートし、取り扱いに慣れて一歩進んだ取り組みをしたい場合のサポートも行います。

事例1でデータ取り扱い部門を作る際にも、Legolissが部門間調整等をサポートいたしました。多くの企業でCDP導入支援をしてきた実績とノウハウがあるからこそ、部門をまたいだサポートが可能です。

「経験的に、(他部署から)データを出してもらったら、それを活用して得た顧客情報や施策の結果をフィードバックするのも大事」(田中)

部門をまたいだ連携には良好な協力体制が不可欠です。一方的にデータを提出してもらうのではなく、得た果実は共有するのが大切になります。

CDPに集約したデータ分析結果をダッシュボードで必要に応じて参照できるようにしたのも、顧客理解を深めるためであるのはもちろんのこと、データ提出に協力してくれた各部門への成果共有の一手段でもあります。

 

データの数だけ活用の可能性は広がる

CDPMAの連携は、メンテナンスの工数削減だけでなく一貫した顧客体験にもつながります。施策のフィードバックも活用してPDCAを加速すれば、より顧客にフィットした体験に近づいていきます。

社内には、まだまだ顧客理解と施策実行に使えるデータが眠っている可能性があります。MA導入を検討している方も、既にMAを単体で使っている方も、CDPでの幅広いデータ活用を検討してみてほしいです。

 

ブランドイメージUPに向けたキャンペーンの認知拡大を実現

大手消費財メーカー 様
WEB広告のプランニング・配信・運用ご支援

運用型広告に関する自社の知見とリソース不足

ユーザーのニーズや場面ごとに応じてアプローチできる運用型広告は、効果的かつ効率的であるため、多くの企業が注力しています。しかし、運用型広告に関しての知見が社内に充分でない企業も多く、Legolissがお取り組みをさせていただいた大手消費財メーカー様も自社で運用型広告を担当するチームが存在しておりませんでした。社内のリソースだけでは知見が限られており、高度な施策の展開や深い効果測定において、実行できないという課題を抱えていました。そのため、効果的かつ効率的な媒体を選定して戦略を立てていくことができず、また各媒体でのKPIの集約や管理体制そのものも機能していない状態でした。
そのような背景もあり、ブランドイメージを向上させ、認知度を拡大させる施策も打てていないという壁にぶつかっていました。

メディアプランニングとコンテンツ、クリエイティブ制作のディレクション

企業様の課題解決に向けて、Legolissとしてはまずは企業様が設定したKPIに対して一緒に協議をし、そのKPIに対して運用型広告で成果を上げていくための、事前の設計をもとにした分析と改善を行いました。
今回の目的や商材のユーザー行動に適した媒体、何を利用すれば一番効率よくターゲットに広告を当てられるのかを重視し検討したところ、LINEとGDN(Googleディスプレイネットワーク)が効率よくターゲットにリーチできる掛け合わせだと判断し選定。その後、いかに低コストでコンテンツに流動させるかをKPIとし、CTR(クリック率)を上げることを重視し、セグメント配信を行いました。
さらにLP(ランディングページ)や広告バナー等のクリエイティブのディレクションも担当し、商材のターゲットに合ったコンテンツを作成。多くのターゲットユーザーに閲覧してもらえるように、また商品自体の認知拡大とブランドのイメージアップに向けた改善も行いました。

CPCを2ヶ月で50%以上改善しながら運用、ネクスト施策に向けた分析を実行

この取り組みの結果、GDN、LINE共にCPC(クリック単価)を2ヶ月で約50%以上改善することに成功しました。広告種類の改善はCTRで見ていき、ある程度ターゲットに対してリーチすることが可能となり、ユーザーの重複も考慮しながら広告を当てることで、CTRもCPCの改善が計れました。
この成果を活かし、新たにKPIに対してLINEやGDN以外の媒体にもチャレンジ。飛び先のLPの分析も行い、どれくらい閲覧されているか、何%のユーザーに認知されているのかの定義付けをし、サイト内の流入の導線もKPIに置いて最適化することに成功しました。
また、LINEのCTRもバナークリエイティブを駆使したことで上げることができ、サイトに訪れたユーザーの動線を見ていくことで、次の施策で認知に対してのKPIをしっかり定めることができました。
その結果、流入を改善させることで安定的にターゲットユーザーからの動線が確保でき、サイト内の閲覧を増やすことで認知を獲得する戦術に注力ポイントをシフト。認知拡大に向けた貢献が可能となりました。

 

チャネルを横断したキャンペーンを実施!5日間で20%以上のLINEフレンズ新規獲得に貢献

 

輸入・販売会社 様
LINE公式カウント運用ご支援

LINE公式アカウントの活用とチャネル連携に苦戦…

LINEは企業にとって重要な顧客接点のひとつです。Legolissがお取り組みをさせていただいている輸入・販売会社様も当初、LINE公式アカウントを持っているけれど、うまく活用ができていないという大きな課題を抱えていました。またLINE以外のチャネルで、メールDMやInstagram、オウンドメディアも運営はしているものの、それぞれのチャネルが単独での施策しか実施できておらず、チャネル連携での施策ができていない状態でした。大まかなブランド認知度や販売量のKPIは設定していたものの、各チャネルでの目的やどんなユーザー向けにどんな施策を実施するか、曖昧なところがあったため、新商品などのキャンペーンを実施するにあたり、横軸での総合的なプランニングがきちんとできておらず、効果を出すための戦略も立てきれていませんでした。

LINE限定キャンペーンの企画〜実施まで、トータルサポート

企業様は、各チャネルごとの棲み分け、役割分担が全くできていない状態、しかも公式LINEアカウントの活用にも苦戦。しかし、LINEによる認知度拡大、売上増加への期待感は持たれていたため、LegolissはLINE公式アカウントの友だちを増やす方法や商品の認知度を高め、購買につなげる施策をご提案し、新商品のLINE限定キャンペーンの企画から制作、実施までを行いました。まずLINEは「購買」、Instagramは「認知」の役割と棲み分けをし、LINEから他のチャネルへの導線を設計。ユーザーの拡散を考え、デジタルとオフラインを融合させたダブルキャンペーン施策も同時に行いました。

20%以上LINEフレンズ増加、他SNSへの流入数UP

この新商品キャンペーンにより、メールDM会員のLINEへの誘導、LINEユーザーのInstagramへの誘導に成功。メールDMの非会員の人たちがこのキャンペーンをきっかけに商品の購入に至りました。その結果、LINEフレンズ数が20%以上増加し、さらに平均CTRの上昇、売上アップという大きな成果を残すことができ、企業様は新商品とブランド自体の認知度を高めることにも成功しました。LINEやInstagramなど、各チャネルに刺激を与えることで、他のチャネルにも大きな影響を与えることができます。今までLINEユーザーのみにアプローチし、その中だけで終わってしまっていたことも、他のチャネルとの横の連携が取れる施策を実行することで、相乗的な広告効果を高めることができます。

LINEはマーケティングのプラットフォームとして活用していくことが可能で、今回のお取り組みでは、LINEはダイレクトに売上に貢献しただけでなく、ユーザーとのコミュニケーションチャネルとして成長し、よりユーザーとの関係を深めることができました。メールDM会員はいるけれど、そのユーザーへのコミュニケーションがメールのみであったり、LINE公式アカウントはあるけれど活用できていない。そんな課題に対して、Legolissでは、LINEと他のチャネルとが横軸で“つながる”施策をご提案、実行をご支援することができた事例となりました。