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MA(マーケティングオートメーション)は単体で利用してもマーケティング施策に大きな効果を発揮しますが、CDP と連携することでより深い顧客理解を得ることができます。
今回、Legolissでマーケティングプランニング事業を推進する田中毅が、 Treasure Dataのマーケティングマネージャー小林広紀様と、CDP×MA 連携についてセッションいたしました。
なお、本記事内の一部解説や紹介事例はBtoC 向けのMA を想定したものとなっていますが、CDP とMA の連携の仕組み自体はBtoC /BtoB 問わず有効です。
CDP とMA を組み合わせるメリット
MAを単体で使用している場合、各顧客接点で得たデータはデータソースから直接MA に送られ、保存されます。
それに対してMA とCDP を連携させる場合、各データソースのデータを直接MA に送らず一旦CDP に集約・蓄積し、必要に応じてCDP からMA にデータを連携する形になります。
MAをCDP と連携させるメリットは大きく分けて2 つあります。「複数のMA 環境でのデータ連携が容易になる」ことと「顧客理解のために使えるデータが格段に増える」ことです。
メリット1:複数のMA 環境でのデータ連携が容易
CDPを介さず直接MA にデータを送る場合、会員情報や購買データ、EC サイトデータ等データの種類ごとに多くのデータソースとMA を連携する必要があります。ブランドや製品、サービス、社内の各事業部ごとに分けて複数のMA を使う場合、それぞれのMA を個別にデータソースと連携することになります 。
この環境でMA を入れ替えたり追加したりしようとすると、すべてのデータソースとの連携の設計や設定をやり直さなくてはならないです。データソース側に仕様変更があった場合も、複数あるMA のすべての設定を変更しなくてはならないです。
事業拡大により連携元のデータソースや使うMA の数、さらにはMA から連携するツールが増えれば増えるほど、データの連携経路は複雑になります。それに伴い、設計や修正対応の工数はどんどん増えます。外注するならば費用も膨れ上がります。
そうした環境にCDP を導入することで、データの連携経路をシンプルにすることができる 。データソース側に仕様変更があっても複数のMA をそれぞれ修正する必要はなく、連携しているCDP の設定だけを修正すればよいです。
MA側は多くのデータソースと連携せずとも、データが集約されたCDP とだけ連携することで必要なデータを取り出すことができます。
メリット2:顧客理解のために使えるデータが格段に増える
MA単体では施策に利用できるデータ項目が限られているが、CDP は企業が保有する多種大量のデータと、天気予報等の外部データを併せて蓄積できます 。つまり、顧客理解のために使えるデータが格段に増えるということです。
これまで複数のブランドやサービスのMA に分散していたデータを集約することで、企業全体で横串の通った顧客分析と顧客対応ができるようになります。
例えばCDP を介さずにブランドごとに別のMA を使っている場合、複数のブランドの商品を購入した顧客に大量の施策メールが届いて顧客体験を損ねてしまうかもしれません。CDP にデータが集約されていれば、別ブランドでメールを送信した記録を参考にしながら配信の頻度や条件を設定することができます。
豊富なデータを使って顧客理解を深め、その理解に基づいた施策を実行することは、顧客にとってより快適で一貫したコミュニケーションにつながる 。
CDPとMA を組み合わせて活用するためのステップ
実際にCDP を導入し、MA と組み合わせて活用するまでのステップを紹介します。
1.社内にあるデータの整理
社内にどのような状態のデータがどれだけデータがあるのかを明らかにし、整理して集約します。いわばデータの棚卸しです。存在するのにこれまで活用されてこなかったデータが見つかることもあります。
データの状態はさまざまで、フォーマットが統一されていなかったり、場合によっては紙データで記録されていたりもします。それらをすべてCDP に蓄積して活用できる形にする必要があります。
2.データ取得経路の整理
常に新しく入ってくるデータを継続的にCDP に蓄積できるようにするためには、どこからデータが入ってくるのかを整理する必要があります。ステップ1 で整理したデータはどこから取得したものなのかを明らかにし、CDP とつなげる準備をする。取得経路の例は下に示しました。
併せて、今後有用なデータを取得できそうな経路も考えてみるとよいです。例えばウェビナーや製品紹介動画からは視聴履歴や視聴者属性のデータを取得できます。把握したい顧客行動やその取得方法を検討することで、よりデータを充実させることができます。
3.CDP にデータを集約する
整理した内容を基に、CDP とデータソースをつなげてデータを集約します。社内のデータだけではなく、必要に応じて外部データも格納すると、施策・分析に活用できるようになります。
集約したデータを基にCDP で顧客セグメントを作り、それをMA に渡して施策を実行するこの段階で、ようやくCDP とMA の連携が実現します。
MAにもセグメントを作る機能はあるが、扱えるデータ項目が限られている上に、データが古い可能性もあります。取得経路から常に最新のデータが入ってくるCDP 側で作ってMA に渡したほうが、より” 今の” 顧客の状態に合わせたアプローチが可能になるはずです。
4.施策結果・フィードバックをCDP に戻す
連携が実現したからといって、そこで気を抜いてはいけません。顧客はメールを開封したのか。URL をクリックしたのか。施策の結果をCDP にフィードバックすることで、次の施策につなげるサイクルを作ることができます。
CDPによる社内横串の体制では、他サービスで実行した施策のフィードバックも蓄積される。そのデータも含めた分析によって、次回以降はより深い顧客理解を基に施策を実行することができます。
CDP×MA の連携事例
CDPとMA の連携で成果をあげている企業の事例を2 つ紹介します。
事例1:消費財メーカー
ある消費財メーカーでは部門やブランドごとにデータの管掌が異なり、使用しているMA もばらばらでした。そのため、各部門・ブランドからメールがそれぞれ届き、企業全体で一貫した顧客体験を提供できずにいました。そこでCDP を導入してデータを集約し、部門間のデータ取り扱いをサポートする担当部門を設置することにしました。
CDPに集約したデータを各部門・ブランドのMA に連携して施策を行う他、ダッシュボードにも連携して必要な情報を各部門からリアルタイムで閲覧できるようにしました。その結果、ブランド・サービスを横断して会員登録状況や購買データを確認できるようになり、一貫した快適な顧客体験を提供できるようになりました 。
事例2:衛星放送事業者
ある衛星放送事業者ではCDP に会員情報等のデータを集約し、視聴傾向データからどのようなコンテンツが好きなのかセグメント分けをしてメール施策を行っています。幅広いデータを用いてより精度の高いセグメントを作ることができるのも、CDP の利点です 。
また、この事業者では元々顧客からのコールセンターへのコール内容を音声認識ソフトでテキスト化し、Q&A や社内データを検索しやすくするシステムを持っていました。そのテキストデータもCDP に集約して解析することで、トークスクリプトやメール内容の改善に活かしています。
連携を支えるLegoliss の導入・運用支援
上記2 つはいずれも、Legoliss がパートナー企業としてCDP のインプリメント・運用支援を行った事例です。CDPのインプリメントはもちろんのこと、運用支援ではトレーニングを含めたスキルトランスファー(技能や技術の共有)からスタートし、取り扱いに慣れて一歩進んだ取り組みをしたい場合のサポートも行います。
事例1 でデータ取り扱い部門を作る際にも、Legoliss が部門間調整等をサポートいたしました。多くの企業でCDP 導入支援をしてきた実績とノウハウがあるからこそ、部門をまたいだサポートが可能です。
「経験的に、(他部署から)データを出してもらったら、それを活用して得た顧客情報や施策の結果をフィードバックするのも大事」(田中)
部門をまたいだ連携には良好な協力体制が不可欠です。一方的にデータを提出してもらうのではなく、得た果実は共有するのが大切になります。
CDPに集約したデータ分析結果をダッシュボードで必要に応じて参照できるようにしたのも、顧客理解を深めるためであるのはもちろんのこと、データ提出に協力してくれた各部門への成果共有の一手段でもあります。
データの数だけ活用の可能性は広がる
CDP とMA の連携は、メンテナンスの工数削減だけでなく一貫した顧客体験にもつながります 。施策のフィードバックも活用してPDCA を加速すれば、より顧客にフィットした体験に近づいていきます。
社内には、まだまだ顧客理解と施策実行に使えるデータが眠っている可能性があります。MA 導入を検討している方も、既にMA を単体で使っている方も、CDP での幅広いデータ活用を検討してみてほしいです。